【 #NPO未来ラボ 】「あったらいいよね」を創造しよう

NPOやいわゆるソーシャルセクターでよくいわれるのは、「社会課題解決」の場合が多いのですが、そうではない「あったらいいよね」を作り出せることも、重要なことであるはずです。

先日(といってもだいぶ前ですが)の #NPO未来ラボ 定例会で、NPO法人カタリバの方のお話をお伺いした際の話まとめと、そこから得たヒントについて、書こうと思います。

「課題解決」だけが生き残る道か?

日本は「課題先進国」といわれます。少子高齢化、過疎化、国債問題、原発問題、政治的分断などなど。

また、この前のファンドレイジング・日本2019のテーマは「課題解決先進国を目指して」でした。

加えて、本来のNPO法人法の成立背景には、市民が地域の課題解決のために多様な地域住民が活動をする必要があり、活動を組織として動かすためにありました。もっとも、1995年の阪神・淡路大震災のボランティア活動が発端でしたが、まさに1995年はソーシャル元年でもあったのです。課題解決を進める団体として組織化されて、NPOは誕生してきたのです。

しかし、そんな「課題解決」を中心に進めるNPOも環境が変わってきました。

課題解決ならばもはや営利企業がやる

以前、NPO未来ラボの別の定例会で、「NPOがやる部分とソーシャルビジネス(社会企業)がやる部分がかぶってきているし、ソーシャルビジネスは自力で稼ぐので、より事業を大きくしやすい。ゆえにNPOで太刀打ちするのは難しくなってくる」という話をクロスフィールズの小沼さんがおっしゃていました。

いわゆる、「金を稼ぐ部分があるならばそんなのはソーシャルビジネスがやればいいし、そもそも稼ぐためのNPOって何?」という話です。

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例えば、障がい者の就労支援をするNPOさんは、確実に今同じ障がい者の就労支援をするベンチャー企業に負け始めています。領域がまるまるかぶる、ということは言い切れませんが、大幅にやる事がかぶるし、マネタイズをするのは企業の方が上手い、さらに出資者も募りやすいとくれば、NPOが負ける可能性は高いでしょう。

すでに、「社会課題解決」はNPOに限らず、企業も取り組むし、行政も取り組みが始まっています。

では、次にNPOがすべき方向性は何か。それが「価値創造」に取り組むNPOです。

「あったらいいよね」を作ろう

NPOのあったらいいね非営利だからできる「あったらいいよね」を作る。具体的にはなんでしょうか?

NPO法人カタリバの代表、今村久美さんの話の中で、「カタリバの活動は私にとって、「あったらいいよね」を具体化したもの」と話されていました。

NPO法人カタリバ、最初からやっているのは、高校生と大学生の「ナナメ上」の関係を作る「カタリ場」でした。

日本のほかの企業の既存にある教育事業とは明らかに一線を画すものでしたが、これらのプログラムは「大きなお金にはならないけど、高校生にとってキャリアを考えるときに「あったらいいな」でできたもの」でした。

事業化に必死になって見失ったもの

一方で、お金を稼ぐ必要は少なからずあったので、何とか「カタリ場」や自分のNPOで始めた事業を稼いで成り立たせようと必死だったそうです。

そして、いろんな「お金になりそうな事業」を始めてみたものの、何をやっている団体かイマイチわからなくなったのだとか。

そんななか、2011年の東日本大震災発生後、「かわいそうな人に寄付してください」というのがあり得ないと思っていたが、被災地に引っ越して、被災地で活動を始めたときに寄付を募ってみたら意外と来たことに驚きがあったそうです。

そして、改めて、「目の前の子どもに何をしてあげられるかを考えることに執着した」結果、そのような事業を作り発信したところ、寄付が集まるようになったそうです。

そんな「カタリバ」の話はこちらの本で詳しく読めます。

これからは「あったらいいな」から作りたい

この「あったらいいな」から事業を生み出していく、いわゆる「価値創造型NPO」の可能性を感じました。

僕がずっと#お寺をアップデートで書いていることは、妄想が多いのですが、まさに事業を妄想して「こういうのあったらいいな」というものを探し続けて、本当にできるものがあれば作っていく。

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そういうかたちで、企業が「課題解決」をせっせとしている横で、NPOは、その事業自体で儲からないけど「あったらいいな」という事業を作っていく。

これからのNPOの形として、「価値創造」型が一つのヒントかもしれません。

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