居場所について「お寺」としてもう一度考えてみた #まちづくりカフェたかつ

2月15日に、地元で、まちづくりに関心がある人で集まってあーでもないこーでもない話し合う「まちづくりカフェ」に参加してきました。

最近は、お寺が”居場所”や”交流の場”として再び注目されてきています。Webサイトの記事も多く、また書籍も多く出てきております。

書籍の一例として、『定年後はお寺が居場所』や『地域とともに未来をひらく お寺という場のつくりかた』が昨年でリリースされ、注目を浴びました。

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今回は、「まちづくりカフェたかつ」に参加しての気づきと、私が「お寺の者」という立場で、地域や町の中において、お寺を「居場所」としてどう活用されると良いのか、を改めて考え直したことをまとめました。

まちづくりカフェとは

まちづくりとお寺について話してきました
まちづくりカフェたかつのご案内。

「まちづくりカフェたかつ」とは、パンフレットによると、

「人と人とが出会い、想いを共有し、新たな気づきを得る場です。まちづくりのアイデアやヒントを探るとともに、参加者同士で想いを共有します。」

ということで、ゲストのお話を聞いて、川崎市高津区のいろいろな立場の方とお話してきました。

まちづくりカフェたかつは、概要説明と自己紹介をしたら、第1部がゲストトーク、第2部が参加者間のクロストークタイムとなっております。

ゲストトーク「あったらいいなとやってみたいを互いに持ち寄るまちづくり」

第1部はゲストトーク、外部からゲストをお招きして事例や取組みについてお話を伺う時間でした。

今回はNPO法人こまちぷらすの方のお話でした。

横浜市の戸塚で地域の子育て世代向けの居場所づくりを実践されている団体で、当初は子育てされている親の居場所としてのカフェの運営やテーマごとのおしゃべり会の開催と子育て情報や地域イベントの情報メディアの大きく2つの役割を担っていました。

こまちぷらすさんの取り組み

いまも居場所として「こまちカフェ」を運営されており、子育てママが来る場として続ける一方で、地域の企業との協働やカフェに来た方の「やってみたい」を叶えるサポートに取り組んでいます。

カフェという居場所のワケ

そもそも、なぜ子育て世代の親のためにカフェという居場所を作ったのか。

それは、「子育て世代の親は孤立してしまいやすいから」ということです。子育てママは、「家にいなくてはいけない」というプレッシャーにつつまれているのです。そこから解放して、いろんな人と話す機会を取り戻すことで、「自分と社会の再接続ができる場所」を作り、町にいる人たちが子育てにかかわりを持ち、地域での孤立感を減らしていくことを目的として、カフェ事業が始まったそうです。

現在は、子育てママに限らず、「発達障害児の親」「介護と子育てが同時に発生している方(ダブルケア)」「不登校・ひきこもりの子を抱えている親」が孤立しないように、ためらわずいろいろな悩みをシェアできる場づくりにも取り組まれています。

「まちの主人公」を作るサポート

もうひとつ、チャレンジしていることとして、こまちぷらすと関わる人たちを「まちの主人公にする」取り組みがあります。

こまちぷらすさんに居場所を提供されて、助けてもらえるのはうれしいけど、ただいるだけでもつらいので、なんか自分でもやってみたい。

そう感じる方に居場所への「参加」をサポートする取り組みをしています。パートナーという形で、ボランティアを公募し、「自分がやってみたい」「こんなものがあったらいいのに」を実際にやっていただき、こまちぷらすさんがサポートするという取り組みです。

では、なぜ「出番」づくりをするのか。

それは、「まちの存在」のひとりになれることで、自分と社会の再接続につながるからです。支援の受け手ではなく、自分の力を活かせることが、結局まちのパワーになっていく。一方的な支援ではなくて、支援された側がまた支援する側に「恩送りをする」

こまちぷらすさんの場所作りの話は、団体さんと地域住民の相互のやりとり、向き合い、そして「やってみたい」と「あったらいいな」を叶えることによって地域での好循環を生んでいると思いました。

こまちぷらすさんの「居場所」の考え方

こまちぷらすさんは、居場所に対してこんな考えを取り上げていました。

・こまちぷらすが意識している居場所は「ここなら・今なら・あの人なら、話せる」居場所
居場所はどうしてもその場限りで「点」になりがち。継続性が大事。
・使っている人の「声を拾う」こと。その声に従って、進む、変わること。でも目指す方向は間違えないこと。

こまちぷらすさんの講演より

これらは、ほかの居場所を作るときにも、同様に頭に入れておく必要がありそうなことだと感じました。

なぜ興味を持ったか

こまちぷらすさんのお話は、子育てとはまだまだ無縁な僕でも興味を持ちました。

それは、僕がこれからやろうとしていることが「お寺と社会のつながりを見直すこと」であり、檀家さんだけにクローズにされていたお寺を、もっと広く人に関われる場所にしたい、と考えているところだったからです。

ボクがこれからやっていきたいのは、まずはお寺の「関わりしろ」を増やしていくことです。
もしかしたらいろんなお寺さんがやっているかもしれないけども、やっていないところも、そもそもそんな情報もつかんでいないところもあるかと思います。
そういう場所に届かせたい。

「 お寺 の未来を語る、タダのお寺息子のボクがこれからやっていくこと。 」より

よく、「関係性の再構築」という言葉がキーワードとしていわれるのですが、それよりも「届いていなかったところに届かせる」という言葉の方がしっくりきます。その点が響いたのかもしれません。

クロストーク「居場所って結局?」

当日のグラレコのボク。やはりナスビ顔なのだ。

これらのこまちぷらすさんのお話の後、参加者間での話し合いになりました。テーマはフリーでしたが、やはり「居場所づくりをどうするか?」という話がメインになりました。

そんな中で、僕は「お寺の息子」「NPOファンドレイザー」という2つの立場から話し合いに参加していました。

内容としては、「居場所作りの戦略をどうしよう?」「どんな居場所が高津にあったらいいかな?」という話をしていました。

まちづくりカフェたかつに参加されている方には、フリーのヨガ講師や町の駄菓子屋さん、地域の子どもの居場所を作っている方などなど、多様な方が参加されていたので、それぞれの居場所の話が聞けたのが非常に有意義でした。

さて、僕自身がまちづくりカフェたかつを通じて感じたかどうか、まとめてみます。

まとめ

お寺という居場所

冒頭にも挙げた 『地域とともに未来をひらく お寺という場のつくりかた』 の中では、お寺という場の作り方の話として、「出番があることが居場所になる条件になる」と書かれています。

最近では、TempleMorningという、お寺のお勤めと朝の掃除に参加する朝活があります。これもその一環で、「掃除をする」という出番があるので、普段入りにくいお寺にも、奉仕活動をするという言い訳をしてはいれるわけです。

開催されていたら、お寺に掃除しに行く、それでお坊さんの話を聞いたり、集まった人と話したりできる、という「意味報酬」を手に入れても大丈夫、お寺に入っても大丈夫、という「居場所」の認識になります。

ちなみに、お寺の活動に参加してもらう時の工夫について、ボランティアマネジメントの事例をもとにした記事もあるのでそちらもご参考になさってください。

お寺 に地域・市民参加の場を作ろう【#FRJ2019】 – しまさんのお寺

では、お寺への間口を広げたら、「お寺が居場所になる」ことができたら、次はどうなることが必要になるのでしょうか。

お寺が居場所になったらどうするの?

お寺って、結構猫居ますよね。

お寺での居場所づくりでは総じて「檀家にする?集めたはいいけどどうする???」ということが多発しがちです。

これは、単純に「出口戦略の設計ができていない」だけです。

出口戦略とは、「なにかかしらのアクションを起こして(もしくは起こさせて)、入り口からお寺に入ってくれた方に、どういう提案をするのか」を設計することを指します。

ここでは、二つ紹介します。1つは「居場所としての機能をより高めていくこと」、もう1つは「集まった人個人が頼めることを用意しておくこと」です。

お寺の居場所の出口戦略①:居場所としての機能をより高めていくこと

ひとつめは、「居場所としての機能の強化」です。

こまちぷらすさんの場合、社会にいる「誰」を相手にするかを最初は絞っていました。それは、「子育てママ」です。だから、強化すべき機能は何なのかを明確にできたのです。

具体的には、「子育てママ」のために、子どものことを気にせず安心してご飯を食べたり、子育ての悩みが話せるカフェ事業とか、「子育てママ」が地域の存在になるためにやりたいことをできる環境を作るとか。

「ここなら・今なら・あの人なら、話せる」居場所。 この居場所づくりが次のワンステップでしょう。

もしくは、 使っている人の「声を拾う」ことを通して、お寺の居場所づくりの参考にすること、も重要な点でしょう。

お寺でも多くの事例があります。子供向けに特化したり、都市圏のサラリーマン向けに特化したり、高齢者に特化したり…詳しくは先ほども取り上げた書籍をお読みいただければたくさん詰まっているのでそちらにゆずります。

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居場所を作った後、次は「誰の居場所?どんな課題解決OR価値創造をする場所にするのか?」という出口設計がひとつ考えられます。

お寺の居場所の出口戦略②:集まった人個人が頼めることを用意しておくこと

もうひとつ、お寺の居場所の出口戦略として、「集まった個人がお寺に頼めることを作っておくこと」、があります。

具体的には、納骨堂や樹木葬墓地を生前に依頼したり、お焚き上げ供養を檀家でなくても依頼できるようにしていたり、会員制度を設けてお寺に相談事をすぐにできるようにしていたりと、こちらの出口戦略も多様化しています。

こちらについても、 お寺を居場所として使っている人の「声を拾う」こと。何が求められるのか、それは現場ベースでしか見つからないものです。

お寺で居場所づくりをするなかで、出口戦略の設計、はかなり重要と言えるでしょう。「お寺と社会をつなげる」には、ただ開放する、ただイベントをする、ではいけないのです。

地域にはどんな役者がいるのか、地域では何が求められるのか、そして「自分としては何がしたいのか」を素直に向き合うことがお寺の居場所づくりのポイントになっていくでしょう。

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