お寺の取り組みを「抜苦与楽」で見直そう(お寺息子による解説です)
こんにちは、いまコロナウイルス等感染症で日本は大変なことになってきましたが、体調には気を付けてまいりたいですね。
さて、今日こんな記事を読みました。
【コラム】抜苦与楽で取り組みを整理すると、お寺がやるべきことが見えてくる。|神崎修生|noteこの記事では、「お寺がやるべきことってなんだっけ?」 についてしっかりとお答えしておりました。非常に参考になる記事だったのですが、せっかくなので、僕が読んで感じたこと、実際に考えてみたことをまとめてみようと思います。 記事にはなかった、解説用の図式とともにお送りいたします!
もくじ
お寺がやるべきことが見えてくる
「抜苦与楽で取り組みを整理する」ということによって「お寺がやるべきことが見えてくる」というテーマの記事だったのですが、こちらを読んでまず思ったことは、
目新しいことをやるだけじゃなくて、今までやってきたこととかやりたいことを整理するのに、「抜苦与楽」という枠組みって使えそう!
ということです。
実際に、この記事読んだ直後には、
「抜苦与楽」を元にした寺院経営のフレームワーク作りたい。
— しまさん@お寺と社会に絆を (@shima_sun_0) March 12, 2020
寺院で取り組む「抜苦」
寺院で取り組む「与楽」
その基軸を真ん中に書いて。
アウトプットしよ。#お寺をアップデート @shingyoji1610 #note https://t.co/lrw6gX0lDv
こんなふうに思うくらいには目から鱗が落ちる内容でした。
「抜苦与楽」とは、お寺がやるべきこと
抜苦与楽とは、そもそもこのような意味です。
苦を抜き(苦悩が和らぎ、癒やされ)、楽を与える(より良く生きていく)ことを、自他共に実現していこうとするもの
神崎修生氏「【コラム】抜苦与楽で取り組みを整理すると、お寺がやるべきことが見えてくる。」より
実際、宗教がこれまで務めてきた役割の中には、葬儀などの儀式に限らず、宗教を通して人の心を豊かにすることも含まれます。
(宗教が提供している)精神的価値とは何なのか。それは、宗教を信じることで精神が安定することや、宗教法人による教化が人の精神に良い影響を及ぼすことを指すといえます。
島薗進(2008)「宗教法人にとって公益性とは何か」『現代宗教研究』 別冊より
宗教とは、苦しみや悲しみ、思い通りいかないことを受け入れて、生き抜いていく知恵をまとめたものであり、それを広めるのが宗教の役割である。
釈徹宗(2014)『宗教は人を救えるのか』より
ほかにも、「子ども食堂」や「おてらおやつクラブ」のような社会貢献活動も宗教の役割の一つに数えられます。
宗教法人の社会貢献活動とは宗教法人が、宗教理念に基づいた利他主義によって行う、社会貢献活動である。
稲場圭信、櫻井義秀編(2009)『社会貢献する宗教』より
宗教法人の社会貢献活動は、信仰に基づいた信者の実践を基本としている。
稲場圭信、櫻井義秀編(2009)『社会貢献する宗教』より
これらは、すべて世の中にいる人の抜苦与楽のために行われてきたもの、と考えると納得がいきます。
やるべきことを見失わない
しかし、それ以外にも「やらなきゃいけないこと」が山積みであることは確かです。
お坊さんとしての職務だけでも、「葬儀」「法事」「祈願・祈祷」「講中の世話」「お寺の広報・会計などの事務」があります。
であれば、これらのことから「自坊で特に注力しないといけない事って何だっけ?」を「抜苦与楽」という観点から見直すのが有効と言えます。
忙殺されると見失ってしまいがちですが、そういうときこそ「見直し」をして、やる事を絞っていくことで、自分の大変さが軽減できるのではないでしょうか。
何を「抜苦与楽」するのか?
とはいえ、何を「抜苦与楽」するのかを考えないといけません。
一番わかりやすく、具体的なのは、仏教における「四苦八苦」でしょう。
お寺が取り組む「抜苦与楽」とは、具体的には「四苦八苦」を取り除けるような取り組みとなるわけです。
四苦八苦を取り除く
では、具体的に「四苦八苦を取り除く」とはどういう取り組みを指すのでしょうか。
それは、目新しいことをやる、とは限りません。今までやってきたことをもう一度見直して、今後どうしていくかどうかを考える、それでも十分かと思います。
例えば葬儀。
葬儀ひとつとっても、亡くなったことで失った家族が「愛別離苦」の苦しみを癒す場(場合によっては断ち切る場)になります。
また、失うことによって生まれる「生きる苦しみ」がもしあればそれも取り除くべきでしょう。そのためにも、「お経を唱えておしまい」ではいけない、と感じられるのではないでしょうか。
こういった死による「愛別離苦」をどう取り去るべきか、については、死に対して真摯に向き合った髙橋上人の本、『さよなら、仏教 タテマエの僧衣(ころも)を脱ぎ去って』をおすすめします。僕もこの本を通して、「死」との向き合い方の一端を学んだかと思います。
この場合であれば、取り組みは「葬儀を見直す」「そのためにどういう葬儀がより残された人の「愛別離苦」に対応できるか」となるでしょう。
ほかにもいろいろな取り組みを「抜苦与楽」の観点から見直すと、どう取り組んでいくか、自分が取り組むべきなのか、を見直していけるでしょう。
「あれもこれも」病を治そう
そう考えていくと、「あれもこれも」やりたくなる気持ちもわかるのですが、マンパワーもお金も時間も限界がある中では「抜苦与楽」が自分でできること、やりたいことを突き進めていきたいものですね。
今回の記事の「「抜苦与楽」からお寺の取り組みを見直す」について図式化した全スライドはこちら↓↓
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1995年神奈川県川崎市のお寺生まれ。中高は全寮制男子校に6年間通い、その後横浜国立大学経営学部にて「宗教法人の情報開示 ~公益性の観点から~」をテーマに、ソーシャルセクターの中の宗教法人の情報開示を、公益性・社会性の観点から評価し、開示する方法を研究。その後はコンサルティング会社で働きつつ、「#お寺をアップデート」を合言葉に、お寺をソーシャルグッドな存在にするための方法や、お寺のこれからのカタチを発信している。また、実際にお寺の現場に訪問し、お寺のアップデートを実際に手伝うことも。詳しいプロフィールはこちら>>
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