NPO の進化のためには、原点回帰が必要だ。 #NPO未来ラボ
こんにちは、しまさんです。先日、僕が お寺枠(?)で所属している NPO 未来ラボの定例会に、NPO法人クロスフィールズの小沼さんが、お話に来てくださいました。
未来ラボの定例会始まりましたね!
今日は留職を行なっているクロスフィールズの小沼さん! https://t.co/1pk8z6Xbmf— NPO未来ラボ公式 (@npomirailabo) 2019年1月11日
この小沼さんのNPOの原点回帰の話から、NPOのこれからについてこの記事で整理して書きます。
もくじ
社会貢献というマジックワード
NPO法人クロスフィールズのメインの事業は、企業のマネージャー候補や役員候補の人に向けた「海外留学」ならぬ「海外留職」の提供・マッチングをしているNPOです。
具体的に言えば、上の図’(クロスフィールズのウェブサイトより)のように、日本の企業から新興国のNPOや社会企業に、日本の企業で培ったスキル・ノウハウを新興国の課題解決に活用し、経験を持って帰る、という研修兼社会貢献活動となっています。
その代表の小沼さんがお話されていた話。もともとNPOというのは、どういうものだったか、これからどうなっていくべきか?という話が、非常に興味深かったです。
ここ10年で、企業が「社会貢献だ!」という声を聞くことが多くなりました。その中でも、クロスフィールズの「留職」は一つ選択肢として、企業に選ばれてきています。
これまでは、マジックワードとして「社会貢献」があり、だいぶ一般の社員にも浸透してきました。CSRやCSVという、社会に対してどのような価値を提供しているか?という考え方も広まってきています。
そうなると、「それではNPOはどうするの?」という話になるのです。
NPOはどうしていくべきか?
企業が社会貢献活動をして、しかもマネタイズに成功できた例が多く出現しています。(というよりも課題解決できる企業が生き残れる時代に変わった、ともいえそうです)
そこから考えると、NPOはどの層にリーチするのか、どのような活動をしていくべきなのか、ということを再定義する必要がでてきました。
なぜなら、NPOはもう「社会課題解決」だけでは生きていけないし、ベンチャーに駆逐されていく状態といえるからです。
マネタイズをできない領域をNPOがやるべきという思考が昔からあり、マネタイズする部分はベンチャーがやればいい、となります。また、一般人の意識として、「金稼ぐNPOって何?」という価値観があることは確かです。分けて書くと、下記のようになります。
事業性高く、一般消費者向けサービス=営利企業
事業成り立たない、最貧困層向けサービス(支援)=NGO→支援を受けた側は自立できない層
事業成り立ち、貧困層向けサービス(この3つの中では中間)=Social Business(=NPO)→自立は支援すれば可能な層しかし営利企業がSocial Businessの領域を侵食してきている状況にある。
→したがって、より市場が成立しない(=最貧困層)にNPO挑戦する必要があるより効率性が低く、より届きにくいところに、より金にならないところに、NPOは接近していく必要、立て直す必要がある
だからNPOは結局どこで何をすればよいのか?の再定義が重要となるのです。
そこで、小沼さんが出した一つの答えが「原点回帰」でした。
それは、小沼さんがJANICでも活動し、年代が上のNGOやNPOの方と話していて、上の世代と下の世代のNPOの感覚の違い、政府と市民という構図が基本の中で感じた答えでした。
では、小沼さんが考えるNPOの原点回帰とは何か。
NPOの原点回帰とは、「市民に自覚を促す」組織
それは、
「市民が市民としての自覚を持って、地域を作るように仕向けられる組織」
「その活動を通して、個人が価値観を変化できる組織であること」
というのです。
本来、NPOはボランティアの人たちが集まって、継続的に支援できる仕組みを作ったものです。そのボランティアの原点は、地域の清掃であったり、地域の高齢者のお手伝いだったりと、地域に重点を置いたものでした。それを、単発的なものから継続的なものに、点から線に変えたのがNPOだったのです。
さらに、その活動を通して、地域住民それぞれが価値観を転換し、地域を作っていく、という流れにつなげるのがNPOだったのです。
現在は、大きいNPOもありますが、もとをただせば地域の課題解決の組織であったといえます。
地域の課題解決をしてみたら、それが日本の規模まで存在していた、だから広げていった。その流れなのです。
あらためて、小沼さんがNPOを再定義すると、「問題に挑む、つながりながら、草の根の活動をしていけるプラットフォーム」というものだと。
地域の課題と同じくらい、地球規模の課題は存在しているのだし、日本はほかの国がこれから迎えるに多くの課題を抱えている「課題先進国」なのだから、NPOはそれに挑んでいけるのだというのがこれからの日本のNPOの原点回帰をともなった転換だと言っていました。
駒崎さんが、「日本は依存体質の国だ。何を決定するにも人任せ、何かをしてもらおうという態度がありすぎる」という話を著書「社会を変えるを仕事にする」でも書いていましたが、いまこそ、NPOは市民が市民としての生き方を作っていけるラストチャンスなのかもしれません。
そう考えると、お寺もその舞台の一つになればいいし、お寺が地域社会の中心だと言い張るのならば、「市民が市民たる自覚を持てる」ような活動も増やしていかないといけないと考えます。
実際、松本紹圭さんがツイッターでも発信している「#Templemorning」は、地域の人が地域のお寺での活動を通して、市民であることを自覚できる場所です。
【テンプルモーニング神谷町光明寺39回目 2月8日(金) AM7:30〜8:30】 お寺から一日を始めませんか? 出勤前、お寺でお坊さんと一緒にお参り・掃除・お話。無料、手ぶらOK、誰でも歓迎、途中参加離脱OK。雨天時は屋内で。神谷町光明寺のお寺カフェ集合! #templemorning
— 松本紹圭 Shoukei Matsumoto (@shoukeim) 2019年1月25日
これからは、そういった地元が見えている部分での課題を解決していくことが重要ではないか、というのがNPOでもお寺でも必要になります。
どんな課題が地元にあって、具体的に何かできるか、それを考えていくのが重要になっていくのです。
今までの公益性は「ふわっと善い事」に過ぎなかったのですが、より明確に「課題解決ができている」ことが公益性へのヒントになる、という言い方もできそうです。
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今回は、そんな小沼さんのお話から、NPOの原点回帰とそれに伴う進化について書いてみました。
1995年神奈川県川崎市のお寺生まれ。中高は全寮制男子校に6年間通い、その後横浜国立大学経営学部にて「宗教法人の情報開示 ~公益性の観点から~」をテーマに、ソーシャルセクターの中の宗教法人の情報開示を、公益性・社会性の観点から評価し、開示する方法を研究。その後はコンサルティング会社で働きつつ、「#お寺をアップデート」を合言葉に、お寺をソーシャルグッドな存在にするための方法や、お寺のこれからのカタチを発信している。また、実際にお寺の現場に訪問し、お寺のアップデートを実際に手伝うことも。詳しいプロフィールはこちら>>
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