お寺 の檀家さんを大事にすべき理由とすべきこと
もくじ
お寺 のお悩み「お檀家さん」問題
お寺 を経営していく中で、抜けてはならないのは「現在いらっしゃるお檀家さんとどう付き合っていくか」。
なぜなら、お檀家さんによって、お寺は支えられている場合が多いからです。
浄土宗総合研究所が全国の過疎地域にあるお寺863寺院を調査した「過疎地域における寺院に関する研究」によると、檀家数と収入は正の相関(増えるほど増えること)があります(相関係数0.74)逆に言えば、檀家の減少は収入の減少に直結し、事業が成り立たなくなる可能性を明示しています。
しかし実態として、檀家数は減少傾向にあります。上記の863寺院のうち、有効回答612ある中で、20年間の間に檀家が減少したのは何と374寺院(61.1%)も。
また、檀家をやめてしまう理由については、同調査の中にあるそれぞれの寺院からの上がってきた危惧する声が参考になります。
・ 「近所の檀家はほぼ高齢者世帯で、息子は県外に在住。今の高齢者が亡くなったら、檀家が急減する可能性がある」
・ 「次世代と同居しているのは数軒程度。今後檀家数は半減してしまうかもしれない」
・ 「遺骨を遠方の都市部に引き取る例が増えており、また後継者が県外にいる三分の一の檀家は、今後お骨を持って行ってしまうだろう」
・ 「檀家は減少しているにもかかわらず葬式件数は毎年増えているが、一旦減少に転じたら歯止めがきかず、さらに檀家は急減するだろう」
・ 「後継者がいない檀家が多く、今支えてくれている檀家が亡くなれば絶家となってしまうだろう」
高齢単身世帯化・過疎化が主な原因です。そう考えると、地方に人を呼ぶ必要性は待ったなしのようです。
お寺は、そんな環境下で、新たに檀家を増やすことも重要ですが、既存の檀家をいかに減らさずに維持するか、も重要となっています。
企業でいう「既存顧客」にあたる方たちですので、その既存顧客をホールドするためにも、お寺として、「お檀家さんであることのメリット」をより魅せていく必要があります。
既存顧客、という意識
実際、檀家さんが多いところでは、おのずと意識するかもしれませんが、日々の業務に追われて、既存顧客をどうやって維持するか、なんて考えることはありますか?
また、檀家さんが多くないところでも、その多くない檀家さんを「しっかりキープしよう」、という意識で日々お寺を運営しているでしょうか?
「どうしても手が回らない」、という答えが往々にして聞こえると思います。
でも、先ほどのグラフでも示した通り、檀家さんは減ります。間違いなく。
「檀家さんの減少」は、基本的に「収入の減少」に直結し、そのことによって、総代さんにどやされる、で済めばいいですが追い出される可能性もあり得ます。
もしかしたら、収入がやりくりできなくなって、お寺自体を閉めざるを得なくなる、そんな事態が発生するかもしれません。
お寺の収入が減少傾向にあるのは、何も地方だけの問題ではありません。
産経新聞(https://www.sankei.com/life/news/180920/lif1809200009-n1.html)によれば、「国内最大級の仏教教団である浄土真宗本願寺派が同派のお寺を対象に行った調査(26年実施)によると、寺院収入が年300万円未満のお寺は45%に上った。年50万円未満も10%あった」とあり、お金の問題が明確に存在します。
国内最大級の仏教教団でこの状態と考えると、ほかの宗派も大方に多様な状況だと考えられます。
また、企業も同様の状態です。2015年の倒産件数は9000件弱にのぼります。そしてその原因の大半は「売上不振」でした。(マネーイズムhttps://www.all-senmonka.com/newsite/post-57/より)
お寺も同じことが発生する、というのはあながちウソではありません。
であるならば、何をすべきか。もちろん、イベントなどで新しい人を入れていくことも積極的にしていくべきですが、それと両輪で今いる檀家さん、または新たに檀家さんになった方へ価値提供をしていくことも実施していくべきでしょう。
では、具体的に何をすべきでしょうか?
檀家さんという既存顧客への価値提供
別の記事で、「お寺の価値」について書いたのですが、お寺の価値としてあげられることは下記のようなものです。
- 日本の文化である、仏像、お堂がある
- 仏教という教えを良く知っているお坊さんがいる
- お悩みを受け止めてくれる、人生の見直しのお手伝いができる
そのうち、後者2つが檀家さんにダイレクトに価値提供できることだと思います。
これら以外にもいろいろあるかと思いますが、「特に思いつかない!」という方はぜひ参考にしてみてください。
すべての年代に仏教という処方箋を
仏教という教えを良く知っているお坊さんの存在、がどう価値なのか。
それは、普通の人では知りえない「仏教」の奥深さを広めることができる、ということに通じます。
例えば、法話。世の中のニュースや人生観について、仏教の考え方を用いて分析したり、人生の軸を伝えたりすることができます。
いうなれば、仏教を用いた「社会アナリスト」。発信することで、お檀家さんに人生観や道徳などをお伝えするという役割です。
一方で、お悩みを受け止めてくれる、という価値は明確に打ち出しやすいかと思います。
「お檀家さんであれば、いつでもメールやチャットで相談を受けます!」ということを明確にお伝えすることで、お檀家さんも安心感を感じるとともに、コミュニケーションも増えます。
「これからの時代をどう生きるか、お坊さんに相談してみたいけどなあ…」
「いまこんな悩みがあるんだけど、あのお坊さんならどう答えるかな…」
という人は相当数います。
だからその相談のハードルをなるべく下げることが必要です。
この重要性は、まさに「価値観の多様化」、言い方を変えれば「人生の正解がなくなった時代」において、高まっています。
「これからの進路の不安」「これからの家族の不安」というのは、いつまでもついて回ります。
仏教の考え方を通して示せる存在、それがお坊さんといえます。
お寺さんのひとつひとつが、人生について寄り添える、伝えていく「人生総研」になることが理想です。
そして檀家さんにもうひとつ打ち出せること。
それは「終活アドバイザー」になってあげることです。
高齢の方には「亡くなった後のこと」のお悩み解決を
「終活アドバイザー」とは何かについては、詳しくは下記の記事に書いたのでそちらをしっかり読んでいただきたいですが、ここではお檀家さんへの打ち出し方を考えます。
終活の相談は お寺 に行こう!と言われるためにお坊さんは終活アドバイザーになろう
お寺のお檀家さんにこんなお悩みを相談されたことはありませんか?
「将来お墓をどうしようか…」
「遠くに子どもがいて、相続をどうしようか…」
この相談は、お坊さん1人では解決するのが難しい部分と、お坊さんだからでこそ解決できる部分があります。
具体的に、前者のお悩みには、「お墓の土地やこれからの処遇」についてはお坊さんが、「お墓を建てることやどんな墓地にしたいか」については葬儀社や墓石店の解決する部分です。
後者のお悩みには、「自身が死ぬことで、子どもがどうなるか」という心理的不安についてはお坊さんが、「自身が死ぬことで、子どもがもめないか」については弁護士が解決していく部分になります。
そのように考えると、お坊さんが価値を提供できるメインの範囲は「お悩みを聞いてあげて、解決のための方針を固めて、解決が得意な人にお渡しする」ことが打ち出しとして有効です。
ですので、お坊さんによる「終活アドバイザー」をする上では、「お悩みを聞いてあげて、解決のための方針を固めて、解決が得意な人にお渡しする」ことをお檀家さんに、しっかりメリットとしてお伝えし、お悩みを吸い上げるべきでしょう。
特に、相続についてはお坊さんもわかりかねているかたが多いかと思います。ぜひ私からもアドバイスをしたいです。
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まとめ
檀家の減少が続いていることが数値としてはっきりわかっているので、「檀家さんを既存顧客として認識して、どのようなことをすべきか」についてまとめました。
お寺のお坊さんがお檀家さんに打ち出せるメリットとして、
- 仏教という教えを良く知っているお坊さんがいる
- お悩みを受け止めてくれる、人生の見直しのお手伝いができる
- 終活についてひとまとめにお悩み相談ができる
という3つが考えられます。
一気にすべてできるわけではありませんので、ぜひできることからやってみていただきたいなと思います。
私もぜひアドバイスしたいと思っていますので、下記の問い合わせフォームからお問い合わせくださいね!
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1995年神奈川県川崎市のお寺生まれ。中高は全寮制男子校に6年間通い、その後横浜国立大学経営学部にて「宗教法人の情報開示 ~公益性の観点から~」をテーマに、ソーシャルセクターの中の宗教法人の情報開示を、公益性・社会性の観点から評価し、開示する方法を研究。その後はコンサルティング会社で働きつつ、「#お寺をアップデート」を合言葉に、お寺をソーシャルグッドな存在にするための方法や、お寺のこれからのカタチを発信している。また、実際にお寺の現場に訪問し、お寺のアップデートを実際に手伝うことも。詳しいプロフィールはこちら>>
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