お寺 は文化の担い手になれるか? ①お祭りから考える
もくじ
日本文化の担い手:神社、 お寺
みなさん、「日本文化」と言われたら何を思い浮かべますか?和食、祭り、和服、お城…いろいろあると思います。その中に、ある人は お寺 、神社と答える人もいるかもしれません。
日本のお祭りは、神社やお寺主体のものが多いです。例えば、池上本門寺で開催されている「御会式(おえしき)」。毎年10月12日に開催され、たくさんの行列を見物できるほか、露店も多く、さらに近所を走る池上線は臨時列車を走らせるほどの賑わいを見せます。
もともと、本来宗祖である日蓮上人の命日であり、現在のような豪華な形になったのは江戸時代の頃からだそうです。亡くなったのは鎌倉時代ですので、かなり後のことであったわけです。詳しい由来はこちらに譲りますが、寺が祭りのムードを作っていることが感じられるわけです。
ほかにも、神社の例大祭は、農業を営んでいた村民が、田植えの前に神に祈りを捧げ、豊作になればそれをお祝いするという行事が名残としていろんなお祭りとなっている場合が多いです。その中にあるお神楽は、神にささげるダンスであり、山車には神様が乗っていて、それを祭っているわけです。
さて、なぜこの話をしたのかというと、日本文化の担い手のほとんど(と言えなくても、半分)を神社や寺が受け持っているといえる1つの証明になると考えているわけです。
ただ、都市化であったり、地方の人口減少だったりで、参加者数は減ってきているのです。地方の人口減少はもうご存知の通りなのであまり触れる気はないですが、都市化は二つの面が存在します。という話は別記事にもしたのでそちらを参照してほしいです。では、参加者が減ったとは言いましたが、そもそもどう定義すべきなのでしょう?
「参加」の概念
そもそも、お祭りに「参加」するというのはどういうところから考えるべきでしょうか?見物人は参加には含まないのか、神輿や行列に入っていても、何も手伝わない人は参加しているとは言えないのか。そんな細かい話が始まってしまいそうです。
私は、「そんなこと問題じゃない」と思うわけです。わいわいしていること、多くの人が楽しめる場があればよい、それで十分だと思うのです。御会式は少し具合が異なりますが、多くの神社でやっているお祭り、好例を上げていいのであればだんじり祭りのような、人が集まり、熱狂したり、驚いたり、感動したりと、心揺さぶられるものになっていくべきでしょう。
最近はやりの「フェス」。お祭りはこれに進化すべきであると。
もちろん、猿真似じゃなく、お祭りの要素は忘れずに、色んな人が参加して、楽しめる、もしくは安心するそんなイベントに、進化すべきなのです。ただ「芸能人を呼んでみました」とか「話題の○○を取り入れてみました」というのではなく、参加者をどんどん巻き込めるような仕掛けが必要なわけです。「心を売る時代」ですし。
ひとつの例:向源に学ぶ
わたし自身が参加してはいませんが、宗教横断型のイベントに「向源」というのがあります。
今年はニコニコ超会議に出店したり、イベントが充実したりと進展がありました。
このサイズのものをどこのお寺もできるわけではありませんが、宗教イベントとしてたくさんのお寺がやり始めたら、檀家だけでなく一般の人も「何だろうこれは?」「なんかやってっぞ」と集まるようになります。
本来お寺というのは、民衆が集まる集会場的な部分もあったのです。そこで、まずは祭りの進化として、ミニお寺フェスをやってみる、というのはいかがでしょうか。
開催する意味として、こんなことが言えます。
- お寺が地域において存在感を発揮できる
この点はかなり重要だと言えます。なぜなら、地域にいても「お寺って上がりにくい」「なんかよくわからないところ」と思われていることは往々にあるわけです。だからでこそ、チラシをまいたりポスターを貼ったりできる、また、わいわいしているところが見えるイベントものは存在感を発揮できる1つの選択肢となるわけです。行列は行列を生むという言葉がありますが、その通りです。
- 文化の担い手となることで開放感ができる
多くの寺院に、何かかしら宝物や文化財があると思います。そうでなくても、寺院の由緒や祭りなどは存在すると思います。それらを広め、見せていくことで「お寺はこういう場だったなんて!」という、人の知欲を満たせることができます。イベントでは、無料開放などでできると思うのですが、ついでにお坊さんの説明などを加えるとより、知欲を満たすことができ、口コミにつながる場合もありますし、現代であればSNSで話題になる場合もあります。
以上の2点が、イベントのある意味として考えられるわけです。
今回は、文化の担い手に寺はなれるか?というのを祭りの面から覗いてみました。いかがだったでしょうか?
1995年神奈川県川崎市のお寺生まれ。中高は全寮制男子校に6年間通い、その後横浜国立大学経営学部にて「宗教法人の情報開示 ~公益性の観点から~」をテーマに、ソーシャルセクターの中の宗教法人の情報開示を、公益性・社会性の観点から評価し、開示する方法を研究。その後はコンサルティング会社で働きつつ、「#お寺をアップデート」を合言葉に、お寺をソーシャルグッドな存在にするための方法や、お寺のこれからのカタチを発信している。また、実際にお寺の現場に訪問し、お寺のアップデートを実際に手伝うことも。詳しいプロフィールはこちら>>
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