最強の野生のブッダ:ヒロトが込めた「今がサイコー」
先週、「家出してきた」という稲田ズイキさんを泊めてあげた。実は兄が連れてきた(んだっけ?)お坊さんで、今も仲良くしている。
家出してきた理由はこっちの記事の方が充実しているので、そっちを読んであげてください。
関連記事
連載:僧侶、家出する「竹原ピストルは僕なんかよりもずっと「僧侶」だった」
※ちなみに2019年12月末をもって終了したそうですw
【大事なお知らせ】
約半年間続けてた「出家のち家出」を終えました!泊めてくださった皆さん、支援くださった皆さんありがとうございました!
そして!幻冬舎さんより初の著書が出ます!!!!ハイテンション僧侶エッセイになる予定!!
それでは皆さ〜ん良いお年を🔔🏃♀️💨https://t.co/z4bKFmdY7U
— 稲田ズイキ(煩悩クリエイター) (@andymizuki) December 31, 2019
そんな泊めた日に、とある話題で盛り上がった。それは、「ロックシンガーって、めっちゃ仏教じゃね?」と。
その参考ツイートも載せておきます。
【書いた】
「BUMPは仏教なんだよスゲェんだよ!」って言ってたら文春さんで書かせてもらえました。
『天体観測』は「悟りを目指す物語」で南無オーイェイアハンな曲なのでは?というコラムです。BUMP OF CHICKENは「野生のブッダ」?『天体観測』には仏教のすべてがあったhttps://t.co/7StftS4OWK
— 稲田ズイキ(煩悩クリエイター) (@andymizuki) 2019年3月24日
そう、バンプオブチキンは野生のブッダではないかと。
もちろん、僕は大きく賛同していたんだけど、それ以上に僕が仏教感を感じたロックシンガーがいる。
もくじ
最強の野生のブッダ:甲本ヒロト
その泊めた日に、こんなツイートをしていた。
家出2日目。溝の口の友達の家で「甲本ヒロト、まじブッダだよね」って話をしてる。 pic.twitter.com/VQP6MBylNG
— 稲田ズイキ(煩悩クリエイター) (@andymizuki) 2019年5月19日
(これ我が家ばれんじゃんというのは置いといて)
僕と稲田さんでの統一見解。
と。
この時聞いていたのは、ザ・クロマニヨンズの「生きる」。菅田将暉さんや永野芽衣さんが出演し、そのストーリーが話題になったドラマ「3年A組 ー今から皆さんは、人質です」の主題歌にもなっている。
何より、歌詞の仏教感がヤバイ。特に禅の教えが好きな人は全身の血が沸き立つんじゃなかろうか。(勝手だな)
探し物があるのではなく 出会うものすべてを待っていた
見たいものと 見せたいものばかり
この考え方、来るものすべてを楽しむという姿勢が、無常な世の中でさえ楽しむ姿勢を説いているかのよう。
なにより、「見たいものと見せたいものばかり」と目の前のことに没頭する。
ずっとここには ずっとここには
時間なんて なかった
夢中すぎて、時間があっという間。そんな表現を「なかった」ですからね。
やりたいことやっていれば時間とかほんとに関係ないなとは言うけど、彼らは徹底している。
この言葉にも集約されている。
お聞き下さりありがとうございます。いいですねー。
先生たちはぼくを不安にするけどそれほど大切な言葉はなかった。誰のことも恨んじゃいないよ。ただ大人たちにほめられるようなバカにはなりたくない。
どうにもならないことなんて!
どうにでもなっていいことー! pic.twitter.com/cea9nduPoa— ぷるぷるくにゃくにゃ@元プロサウナー蒸仏 (@dabar_blog) 2019年5月7日
僕は仏教者ではないので(お寺息子に過ぎない)、詳しい解説はぜひお坊さんにしてほしいものですが、あまりにも甲本ヒロト氏が野生のブッダすぎるので、ほかにも歌詞がないか発掘してみました。
そう、題名通り「今がサイコー」と語っている歌詞を。
ブルーハーツ時代から悟っていた。
彼らは、ザ・クロマニヨンズになって悟ったのか。
ザ・クロマニヨンズは円熟の末なのか。
いや、もちろん、バンドマンとしては円熟していたと思うのだけど、それより前には「人間として」悟っていたに違いない。「今がサイコー」だと。
それは、ブルーハーツの時代の曲の時点で歌詞に如実に出ている。
ド定番の曲であれば「TRAIN-TRAIN」。
世界中に定められた どんな記念日なんかより
あなたが生きている今日は どんなにすばらしいだろう
世界中に建てられてる どんな記念碑なんかより
あなたが生きている今日は どんなに意味があるだろう
実はラブソング(か仲間に贈る言葉)なんだけど、すごい意味を彩っている。
比較対象から考えたら、「世界中」VS「目の前のアナタ」という構図なんだけど、それでも「目の前のアナタ」といる時間、いる日々、それが最高だ、と強く込めている。
ライブでの定番曲「少年の詩」。
歌詞の内容に「今がサイコー」という内容はないように見えるけど、あまりにも日常で、でもこの言葉が重い。
どうにもならない事なんて どうにでもなっていいこと
先生たちは僕を不安にするけど それほど大切な言葉はなかった
この一言が、かなりいい。
これも、歎異抄の「他力本願」とか、「あきらめること」「手放すこと」とかといっしょのことを言っていると考えると、やっぱ野生のブッダじゃないかなと。
未発表曲という超マニアックな「ほんの少しだけ」には堂々と。
ダイヤモンドの結末は 宝石屋でもわからない
100年たっても変わらないのか 100年以内に僕は死ぬ
永遠なんていらないよ 僕が欲しいのは 「今」
生きている間だけ ほんの少しだけ
次のフレーズからは、「これから先ダイヤモンドがたどる運命?」をうたっているので、もはやこの部分で歌の8割を語っていると思う。
「永遠なんていらない」というのは、人は死ぬからこそ美しい、なんていう価値観とも接続できる気がする。
でも、ブルーハーツは1995年で解散している。じゃあそのあとどうなったのか。
ハイロウズとソロは「踊り場」だったのか?
ブルーハーツばかりが有名になっている気がする甲本ヒロト氏の音楽活動は、ハイロウズ、ソロをたどって、ザ・クロマニヨンズにたどり着くんだけど、じゃあそのハイロウズ時代とか、その隙間のソロはその哲学が踊り場についてしまったのだろうか?
そんなことは決してない。
例えば、ハイロウズの「即死」にはこんな歌詞が。
何が正しいのか知らない 何が楽しいか知ってる
(中略)
振り返りたくない 考えたくもない
涙はいらない 即死で頼むぜ
過去なんか振り返ってどうするんだよ、というフレーズがあるし、さらにいえば「何が正しいか知らないけど何が楽しいかは知ってる」だなんて、ブッダもたどり着いていない別の悟りの境地なのだろう。
もうひとつ。ソロ活動時に出てきた「天国生まれ」。映画「有頂天ホテル」でも香取慎吾さんが歌ったものです。
チンタッタ 三拍子で ブラリブラリ行こう
待たせておきな 明日なんか
全歌詞はこちら(外部リンクです)
僕的には、ほかのフレーズの方がよっぽど刺さるんだけど、「今がサイコー」という内容にぴったりなのはこのフレーズなんだよね。
そしてたどり着いた「生きる」
ここまで、いろいろ僕の甲本ヒロト論を語りましたが、ここが最後です。
そうしてたどり着いた一つの形がザ・クロマニヨンズかなと思ってる。ほかのバンドは10年以内に解散していたのに、そうじゃないんだもん。
「生きる」の話の前に。ザ・クロマニヨンズの代表曲の一つに「ナンバーワン野郎!」がある。
僕は、実をいうと、「不思議なパターンの被災者」だ。
あの日、僕は日本にはいなかったけど、僕は被災したのだ。通っていた学校はボロボロに崩れ、今はその影響で母校(中高)は閉校している。
あの震災の時、「ぽぽぽぽーん」が落ち着いたころのCMに、カップヌードルのCMで歌われた曲だったんだけど、こんなシンプルなメッセージある?っていうくらいシンプルかつダイレクトな歌詞だった。
やる事はわかってる 立ち上がる 立ち上がる
いつまでも どこまでも 立ち上がる 立ち上がる
本当に、ここまでわかりやすいものもないだろうなと。
「そうだ、立ち上がらないと。」そう思った。校舎が地震でなくなっても。
こういう震災の時でも、それも絶望的な災害でも、「いまやるべきことは?」という問いに「立ち上がる」とシンプルな答えを出していたのはスゴイ。
そこから7年で、年号が変わる、生き方は迷走する時代。そこでもザ・クロマニヨンズは「今が大事だよ」というメッセージを送った。それが「生きる」だったんだよね。
探し物が あるのではなく
出会うものすべてを 待っていた
見たいものと 見せたいものばかり
最近、いろんなところで聞くようになったんだけど、「自分のやりたいことが見つからないなら、とりあえず興味があることに一所懸命になれば?」という言葉を、甲本ヒロト氏はこんな感じで翻訳した。
「出会うものすべてを待っていた」と。
そういう思いで続けていれば、「見たいものと見せたいものばかり」になっていくんじゃないかな。そういう受け止め方してる。
見えるものだけ それさえあれば
たどり着かない 答えはないぜ
ずっとここには ずっとここには
時間なんて なかった
結局、目の前にあることに夢中になる、それをゴリゴリやる、楽しくやっていたら「時間なんてなかった」んだと思う。自分の使命を果たす。それはここでいう「答え」なのかも。
いつか どこか わからないけど
なにかを好きになるかもしれない
その時まで 空っぽでもいいよ
ただ、その「興味があること」さえもない人は、この歌詞に救われないのか。
そんなことない。ここでフォローしていて、「その時まで空っぽでもいいよ」と肯定する。仏様かよ。
全歌詞:http://j-lyric.net/artist/a04c801/l0486d8.html(外部リンクです)
生きるということは、誰かに依存するんじゃなくて、自分で何かに夢中になって、でも夢中になるものがなかったら「空っぽでもいいよ」、と周りが受け入れてくれる。
向き合うということが今の時代、大事なのかもしれないんだけど、それが言いたいんじゃなくて、僕はあくまで甲本ヒロト氏は「生きる」を通して「今がサイコーなんだよ」と伝え倒したかったんじゃないかなと思った。だから長々と。笑
「今がサイコー」でありたいよね
ここまで、甲本ヒロト氏の「今がサイコー」論、について勢いで書いたんだけど、不安とかそういうのがたくさんある人が「今がサイコー」とはなかなかならないし、もっといえば、「今がサイコー」じゃないから不安だし、なんかつまらない人生って感じているのかもしれない。
そのためにも、いろんな人に出会って、いろんな考え方に触れるのも良し、気になることを徹底的にやってみるも良し。
僕だって、今お寺をアップデートとか、NPO法人ひとまきの支援とかしているけど、それが楽しくて、「今がサイコー」だといえるんだよね。
関連記事:やりたいこと がない?僕の やりたいこと を読んでみて。
そんなわけで、「今がサイコー」を生む活動、いっしょにやりませんか?
しまさんのツイッターはこちらから。
活動を応援してくださる方は、Polcaもぜひお願いします!
#お寺をアップデート の活動のために、お寺さんに行くお金、発信のために使わさせていただきます!
#polca #polcaLife @polca_jp より https://t.co/nVtyBA5CFk
— しまさん@お寺をアップデートしよう (@shima_sun_0) 2019年5月18日
1995年神奈川県川崎市のお寺生まれ。中高は全寮制男子校に6年間通い、その後横浜国立大学経営学部にて「宗教法人の情報開示 ~公益性の観点から~」をテーマに、ソーシャルセクターの中の宗教法人の情報開示を、公益性・社会性の観点から評価し、開示する方法を研究。その後はコンサルティング会社で働きつつ、「#お寺をアップデート」を合言葉に、お寺をソーシャルグッドな存在にするための方法や、お寺のこれからのカタチを発信している。また、実際にお寺の現場に訪問し、お寺のアップデートを実際に手伝うことも。詳しいプロフィールはこちら>>
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